月の雫

（山梨）

　山梨県甲州に「月の雫」というお菓子があると聞いた。それは200年以上もの歴史を持つお菓子で、甲州ぶどうをそのまま包んだお菓子であるらしい。名前を聞いても、説明を聞いても、とてもおいしそうなのである。

　なぜ、今まで知らなかったのじゃろう。と思うと同時に、かなりの期待を抱いてしまった。

　箱を開けてみると、何やら真っ白なお菓子が出てきた。うぉ～、なんだか眩しいぞ～。見たら、それはおもいっきり砂糖でくるんであり、ぶどうの果軸（果実の付け根）がポツンと顔を出している。して、砂糖はちょっとひび割れていて、いかにも硬そうだ。あ、ウイスキーボンボンにも似た雰囲気を持っているね～。

　しばらく眺めた後、意を決して半分かじってみれば、そこには生のぶどうが皮付きで丸ごと入っていたのだった。なにゃ～！で、そのまま全部を丸ごと噛み潰してみると、うっ！こりゃ強力だ。当たり前の表現になるが、砂糖とぶどうを一緒に食べている以外に表現のしようがなく、ちゃんとぶどうの種も漏れなく付いている。んー、美味しいような、そうではないような、複雑な味わい。

　こんなに個性豊かなお菓子は久しぶりである。こんなお菓子が平成の世の中でも売っているなんて。うーん、全部食べきれるか、とても心配だ。できれば、一人一個にして欲しい。でも我が家の家族は２人だけ～。